角煮という料理

 

角煮という料理は家庭でも人気のある豚肉のばら肉(三枚肉)を使った庶民的な料理で、肉を1口大に切って、調味料や香味野菜を加えて柔らかく煮て調理したものです。

 

もともとは九州の郷土料理にもなっていて、薩摩料理を代表する肉料理として有名ですが、長崎県でも卓袱料理の「東坡煮」が存在しており、更には鹿児島県内では角煮を「トンコツ」と一般的に呼んでいます。

 

つまり九州全域で広まっており、その地域によって使用される香辛料や薬味も多少異なりますが、ネギやショウガなどの香味野菜、みりん、醤油、日本酒などの調味料を加えて、基本的に甘辛い味付けにしていることが多くなっています。

 

中国の杭州にも浙江料理の「東坡肉」が存在しており、日本では和風東坡肉なども有名で、実際のところ、東坡肉と角煮との区別がやや曖昧になっているようです。

 

この東坡肉は、通常八角や五香粉などの香辛料を加えて調理し、角煮ではこれらを加える場合と加えない両方があります。

 

又、本格的な東坡肉には甘く濃厚な中国醤油(老抽)を使用しますが、日本の角煮には濃口や甘口醤油が使用されます。

 

他にも沖縄県の「ラフテー」も角煮系の郷土料理として広く知られています。これはもともと琉球王朝の宮廷料理だったもので、皮付きの三枚肉を使用するのが特徴です。特に沖縄そばの具や、正月料理の重箱に入っており、甘辛く濃い味付けで非常に柔らかく煮込まれています。

 

豚肉以外の角煮としては、マグロの角煮や牛肉の角煮もありますが、やはり豚肉がメインとなっています。